水子、皆さん一度は聞いた事があるかと思います。
亡くなってしまった子供の事ですね。
これはとある女性のお話です。
女性I子さんは元々気が短い性格をしており、本人も酷く悩む程だったようです。
昔から色々不幸な出来事が起こるので、特別信じてる訳ではなかったのですがスピリチュアル好きであったので、気休めとしてお祓いもしてくれるという巫女様の元へ行く事に決めました。
一人で行くのは心細いという事で事情を話し、友人のA子さんも同行してくれる事になりました。
しかし、何故か巫女様の元へ行こうとするとIさんの苛々が酷くなり道順などが書かれた紙を破り捨てようとしたり、もういい、行きたくない!!とA子さんと喧嘩をしてしまう始末。
A子さんも、I子さんの様子が明らかにおかしいので、絶対に巫女様の所へ行かなければならないと思い、何とか巫女様の屋敷へ辿り着きました。しかし、I子さんは苛々したままです。
屋敷に入ると、部屋の明かりがとても暗い事に気付いたI子さん。A子さんに部屋が暗いと話したのですが、A子さんは何の事?暗くないよ。と返しました。
時間帯は午後の一時を少し過ぎたくらいでしたので部屋の明かりを点けてないのか、暗めに設定しているものだと思いつつ、巫女様にも部屋が暗くないですか?明かりをつけないのですか?と聞いたのですが、A子さんと同じ反応で。
いえ、暗くないですよ。一応点けてるんですけどね。貴女、そういうのが分かる方なのですね。と返ってきました。
実はI子さん、幼い頃から照明云々ではなく家の中が暗く感じたり逆に明るく感じる妙な能力を持っている方でした。勿論、本人はそれが当たり前だと思っているので特別な感覚とは思ってもいません。
一旦、A子さんには隣の部屋で待ってもらい、巫女様とI子さんの二人だけで話すことになりました。すると、ここに着くまで一悶着あったり、死ぬほど苛々している事と持病がある事を言い当てる巫女様。持病は子供の頃に罹ってから治らずにいたのです。驚きを隠せないI子さん。
巫女様は続けて、貴女が私の所へ来るまでにトラブルがあったのでしょう。そりゃそうです。だって貴女の背後に水子がいて邪魔されていたのですから。
慌てて後ろを振り返るI子さん。
しかし、I子さんには何も見えません。
まだ若く、未婚でまだ子供を身籠った事すら無いので、I子さんには一切心当たりがありません。自分は水子に憑かれる様な事はありませんと狼狽えながら話すと、
原因は貴女ではありません。貴女の、お祖母様ですね。しかも一人、二人なんて可愛いものではありません。五、六人の水子が貴女の背後に憑いてます。持病はこの水子達が原因で長年に渡り霊障を起こし続けた結果です。と巫女様。
I子さんのお祖母さんは何人もの水子を生み出してしまっていたのです。しかも父方、母方両方。
I子さんは自分が悪い訳ではないので病気は治ると希望を持ったのですが、残念ながら遅過ぎました。もっと早く来ていたら治ったそうです。もう治る事はありません。それを聞いたI子さんはとても落胆してしまいます。
そして同時に元凶は自分ではないのに何故!?と巫女様に訊くと、妬ましいのです。自分達は身勝手な理由で産まれてこれなかった。なのに貴女は産まれてなんやかんやありながらも生きている。水子達からしたら嫉妬の対象であると。
とんだ逆怨みをされてしまったものだ…。
I子さんは他に姉妹が居たので、どうして自分だけが標的にされたのか納得出来ないと巫女様に訴えるように訊きました。
いえね、他の姉妹さん達も霊障を受けている筈です。ご本人達は恐らく気付いておられませんが。貴女はまだ良かった。
いやいや、何が良いのかサッパリだと思いながら巫女様の話を聞いていると、自覚無しですがI子さんは非常に霊感が強い性質で、無意識に私の元へ行く事になれたんですと言われました。
修行をすれば素晴らしい霊媒師になれるけど、貴女はそれを望んでいないでしょう。正直羨ましいくらいの能力です。
そんなもん羨ましがるものじゃないとI子さんは内心思いつつ、その霊感の強さでここに来れたのならまだマシだと考えるようにしようと思っていると、巫女様がA子さんを呼びに行きました。
そして一度休憩することになり、お茶を飲んでいるとI子さんは部屋の明かりがとても明るくなっている事に気付いたので、先程暗いと言ったので明るくしてもらったのだと思って巫女様とA子さんに笑いながら明るくなりましたね!と言うと、
二人は顔を見合わせ、来た時と全く変わっていない事を話しました。しかしI子さんには全く違って見えたそうです。
巫女様は、それですよそれ。それが貴女の能力の一つなのです。貴女の場合、前世の性質も受け継いでるのでそれは断ち切る事。そして霊感の強さ故に今後起こる事に対する様々な対策方法などを教わり、助言が終わったのと、時間が予定より経ってしまったので、それでI子さんとA子さんは巫女様の屋敷を後にしました。
それから半年後、I子さんはA子さんとその時の話をしている途中にA子さんから水子は祓ってもらえたの?と聞かれてI子さんはハッとしました。
話す事が多過ぎて祓ってもらったのかどうか分からず、思い出せないそうです。巫女様とはそれきり音沙汰無しである為、確認のしようがありません。
今でもI子さんは逆怨みをされ続けているのでしょうか。
名前:冨岡義勇
鮭大根を13回横取りされた
話した言葉:身に覚えのない水子
鮭大根を差し入れする
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