むかしむかしの話だ。
あるところに王様がいた。
その王様はとても強かったんだが、敵が多くてなあ。
ある時、大勢で手を組んだ敵軍に城の周りを囲まれてしまった。
しばらく城に篭って戦っていたんだが……うん。相手の方がすこし上手だった。戦というのはそういうものだよな。
追い詰められた王様は、城内の社に祀り普段から敬ってきた霊石を怒鳴りつけ、刀で叩き割った。
「俺は今死ぬんだ、お前だけ生かしておくものか」と。すさまじい声だった。
そのまま自分の首を落とそうとしたんだが、その刀には霊力が宿っていて、急に切れなくなった。王様はその刀を川に投げ捨て、違う刀をもって自分の首を刎ねた。
石を割った刀は川に沈んだが、人に拾われ、他の土地を治めていた王様に献上されて、宝とされた。
すこし血なまぐさい話だったな。
主なら大丈夫かと思ったんだ。
宝剣千代金丸