さて――幾百夜を夢心地で過ごしていたのやら。
君はもうとっくに目覚めていたのかい?年初めから随分と早起きだね。

……何故だろう。君の姿を瞳に映すのも、もう随分と久しい気すらしてくるよ。
まなこが開いた瞬間の世界に変わらず君が居てくれて、心からの安堵を覚えている。
(新たな年の目覚めを迎えた魔法使いの様子が常とは異なる事を君が訝しんでいると、不意に彼女の華奢な二の腕に抱き留められた。
 胸の内に顔を埋め小さく吐息を漏らし身を震わせる彼女を見下ろすと、ゆっくりと首を傾げながら見上げる魔法使いと視線が交わる。
 魔法使いの瞳に宿る聡明の光は輝きを曇らせ、代わりに微睡みの霧が揺蕩っていた)

……どうやら、今はこれ以上の言の葉を紡ぐ事すら難儀そうだ。
すまないけれど、このまま今暫く私の醒めぬ午睡に付き合ってくれるかい?

名前:白のラスベルタ
行きて帰りし11回目の旅路
話した言葉:華胥の夢

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