うん、目が覚めてしまったかい?少しばかり、寝酒でも傾けるとしようか。
酒精が今ひとたびの眠りへと誘ってくれる事を期待して、と……
(君の胸元から身を起こした魔法使いがサイドテーブルの戸を開くと、深い琥珀色の液体が入った瓶と水晶の杯が収まっていた。
取り出した二つの杯に蓋を開けた古い瓶から少量の酒を注ぐと、その片方を君に手渡す。
銘酒の匂いが寝所に香る中、軽く揺らした杯の中で静かに揺らめく琥珀を束の間楽しみ――やがて一息に飲み干す)
王都に出仕していた頃、賢人会の皆に振舞われた一瓶でね……思い巡らせ眠れぬ夜。思い尽きず洗い流したい夜。
時折こうして蓋を開け、独り舌を湿らせていたという訳さ。
寝酒は悪習等という野暮、今は無し。憂いを解くは只酒有るのみと千古より謡われるだろう?さ、君も一杯やってくれ給え。
名前:白のラスベルタ
行きて帰りし11回目の旅路
話した言葉:唯有杜康
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