伊賀の里・頭領「よく帰ったな
服部梓中忍
して、此度は何用で来たのだ?」
(今、目の前に居る男
彼こそが伊賀忍者の頭領
…そして自分の父だ)
「この度は…一つお話があり、馳せ参じました」
「…話か
随分と抽象的な言い方をするな
言ってみろ」
「…自分はグリモアを卒業した後、この里で忍者として生きていく予定…ですよね?」
「そうだな」
「………単刀直入に言います
自分はグリモア入学前のように、この里に…忍者に縛られたくありません」
「………お前は服部だ
統領である私を継ぐべき存在であると理解したうえでの発言なのか?」
「………………はい」
「お前がやろうとしていることは
つまり里への背信行為に他ならない
この里を捨て魔法学園での生活を取るわけか」
「里が嫌いなわけじゃありません
ここは自分の故郷だし、大切な場所です
…でも自分にとって学園も…学園のみんなも大切になったんです
…この里で忍者としてあることは、それ即ちその大切な関係を切り捨てなければなりません
…切り捨てたく…ないんです…」
「この里で生まれたものは須く忍者にならなければならんわけではない
だがお前は…お前だけはそうはいかん
お前が外へ行くのであれば
金輪際この伊賀の里がお前に門戸を開くことはないだろう」
「……………っ!
追放…ってことですか…」
「致し方あるまい
お前は次期統領として育てられてきた
全てのものが納得しているわけではないが、里でも概ねそれは受け入れられている
それが忍者には成れぬなどと…
示しがつかん」
[梓は膝に置かれた手を強く握る
顔を俯かせた状態で小刻みに震えているのがわかる
スカートが点々と雫で濡らされていく
自分に出来ることは何もない
震える梓の手をそっと握りしめることしか出来なかった]
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梓エピソード5