[ボクは口を開かなかった
言葉を発することはなく
ただ目の前の少女を優しく抱きしめた]
「っ……!」
ふわりと風が過ぎる
先輩の匂いがする
身体が何かに覆われて温かさを感じる
優しく、それでいて強く抱きしめられていた
「…ずるいですよ…
言葉が欲しいって言ったのに…
抱きしめるだけで何も言わないなんて…
こんなに優しく抱きしめられたら…こんな温もりだけ残して…
ホントに…ずるいです…」
ーーーーだめだ…
分かってしまった
たった一度の抱擁で悟ってしまった
このままお別れなんて…無理だ
「本当に…ズルいです」
先輩が自分の意思を後押ししてくれた
決意は固まった
覚悟も…まぁこれからする
だから…
「今からこのまま伊賀の里に行きます
頭領と話をしてきます
卒業までグリモアに居たいって
卒業後も…
正直どうなるか自分でもわからないです
里を追放されたりとかもあるかもです
でも…面と向かって自分の意思を伝えてきます
着いてきて来てくれますか…?」
[静かに首を縦に振った]
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梓エピソード4