(彼の手が頭の上に置かれ、感触を確かめるようにゆっくりと撫でられる)
(彼が動くたび髪が割れていくが、撫でるのをやめる気配はない)
…また思い出したのか?
お前は連れ去られる場面を見ていないが、だからこそより残酷な光景を思い浮かべてしまうかもしれない。
俺は何度も経験したことがあるが…あれには一生慣れることはないな。
連れ去られるのなんて一瞬だ。俺たちには痛覚があるわけじゃないから苦しむわけじゃない。
…帰ってくるとは断言できない。
けれど二人とも、お前には笑って過ごしていてほしいと思っているんじゃないか?
…まあ、今は好きなだけ泣けばいい。お前を非難する者はどこにもいないんだからな。
P泣きながら寄り添う