…君、ちょっと。
(後ろから声をかけられ振り返ると、見つめていた指先を握られる)
(思わず手を引っ込めると、彼は表情を変えず淡々とした口調で話しだした)
…君が大切な何かを指先に付けているのは、わりと前から知っていたよ。
きっと彼なんだろ?君が愛してやまない彼の、欠片。
僕が君に愛情を注ぎ、かつ君がそれを受け入れてくれたならば、外してくれる日が来ると思っていたのに。
……でもそれを無理やり剥がしたところで、君の気持が僕の元へ来るわけではないことくらい理解している。
だからこれからも見過ごしてあげる。
君は無理に彼と決別しなくていいけれど、その間ずっと僕の気持ちを踏みにじっていることだけは忘れないで。
Fラピスの欠片がある指を見つめる