名前:フォスフォフィライト

硬度119

かわいい!りりしい!

(あれから十年の月日が流れた)

(冬には魘され、春には通い、夏には焦り、秋には項垂れ、)

(今年も起きてくれなかったとため息を吐きながら純白の服に袖を通す)


(彼の居ない十年は、短かいようでとても長かった)

(あとどのくらい待てばいいのだろう)

(来年は目覚めてくれるのだろうか)

(目覚めた時、彼はどちらなのだろう)

(……)


(顔にかかった布を取り、そっと唇を寄せる)

(……)

(亀裂は来年ルチルに治してもらおう)

(藍色の髪をそっと撫で、白い部屋を後にした)
10年後