(今朝目覚めたら学校の中に月人が侵入していた)
(月人はこちらに気付いても攻撃することもなく、気味の悪い微笑みを薄くたたえているだけだった)
(まるで"いる"のが当たり前のような行動に、わけも分からず皆を探しに行く)
(個室では我が物顔で本を読んでいたり、平然と廊下を歩いていたり、瞑想室にはひときわ大きな月人がいた)
(けれど仲間は誰一人として見つからない)
(もしかしたら夜月人に襲撃され、幸か不幸か一人取り残されてしまったのではないだろうか)
(攻撃する可能性が無いと判断され、そのまま放置されているのかもしれない)
(こんな私に出来ることは、ただ一つ)
(霧散させなきゃ)
(自身もいつ攫われるか分からない今、できることはそれだけだった)
(探している途中手に入れた刀を、自身の体を犠牲に振り上げ背後から月人を切りつける)
(バキンッ)(初めて切る月人の感触は、とても気持ちの良いものではなかった)
(私たちが割れる時特有の耳障りな音、悲鳴、足音…今までの月人とまるで違っていた)
(けれどやらなきゃ)
(皆が、帰ってくるまでは)
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