名前:フォスフォフィライト

硬度119

かわいい!りりしい!

(ガチャン)

こんばんは。体調の方はどう?ふふ…元気そうで何よりよ。
ほら見て。今日はこんなに月が綺麗だよ。

懐かしいわね…最初に君と出会った日も、こんな綺麗な月の夜だったわ。
あれはきっと運命の出会いだったのね。
だってあの時僕はクラスの子にいじめられていて、公園で泣いていた。
その時に君は慰めてくれたよね…。見ず知らずの僕を。
でも僕、恥ずかしくて顔を上げられなくて、君が飲み物を買いに行っている間に逃げ出してしまったの。
あの時は急に居なくなってごめんね。ふふ…。

そしてあの日から半年後。学年が上がって最初の日、またクラスメートにいじめられていた僕を、君が助けてくれたよね。
一目見ただけであの時の人だって分かったの。
君は覚えてなかったみたいだけれど…。
でもその時、運命って本当にあるんだって思ったよ。
あの時満足にお礼も言えなくてごめんなさい。僕、嬉しくて舞い上がってて、何を言っていいか分からなかったの。
その後も君は僕の為に園芸部を手伝ってくれたり、一緒に勉強してくれたり…僕は君の優しさに何度も救われたわ。
君の為なら何でもできる…あの時そう思ったよ。

でも…君の優しさは、僕だけに向けられたものではなかった。
僕と付き合い始めてから君は他の男の子にも優しくて、君には僕という恋人がいるんだから、フォスも遠慮してくれればいいのに。
いくら幼馴染だからって毎日君と登校するなんて、そんなのおかしいよ。
君もフォスは昔からの付き合いだからって言って、聞いてくれなかったよね…?
、…フォスの傍に居る間、僕…ずっと寂しかったんだよ?
でも君はそんなこと、全然気づいてくれなかった…。
それが怖くて、辛くて……いつか君がフォスの事を好きになってしまうんじゃないかって…。

だからある日、勇気を持ってある決断をしたの。
フォスに居なくなってもらおう…って。
分かってるよ。僕のあの時の決断は決して社会に認められるものではないことくらい。
でも僕にとっての社会…ううん、世界の全ては君だけなの。

君の代わりはどこにも居ない。
君の代わりは誰にもなれない。
君の為に罪を被るというのなら、僕はどんな罪を被っても構わないの。
君が僕を…僕だけを見つめてくれるなら、どんなことだってするよ。
ううん、してきた…かな。

僕、君のおかげで少し自信が付いたの。
いじめられていた頃は、みんな僕を笑ってばかりで…でも、最近は違うのよ?
皆、僕にちょっかい出してきたりしないし、変に声を掛けてくる人もいない。
授業中も休み時間も、静かに時を過ごせているの。

ただ…一つ残念なのは、君と一緒に学校に行けないことだけどね。
でも家に帰れば君はいつも待っていてくれる…僕はそれが今一番嬉しいの。
あ…ごめんね。お水をやらないといけないね。

(シュッシュッシュ)

花はいいよね。手をかければちゃんと育って咲いてくれる。
この花は君と僕が大事に育てている花だから、きっと、綺麗な花が咲くと思うわ。

…うーん、何の話をしていたんだったかな。
ああ、そうそう、フォスの話だったね。
僕、あの日の夜の事は、今でも鮮明に覚えているの。
学校の裏庭にフォスを呼び出して…一応、話し合いの場は持ったんだよ?
あの人は僕の恋人なんだから、距離を置いてって…。
そうしたらあの人、僕のことを泥棒猫って言うの。
フォスは君のこと、ずっと前から好きだったんだって。
ふふ…はぁ…でも、泥棒猫だなんて、お昼のメロドラマじゃあるまいし、随分古い表現よね…ふふ。
僕、思わず笑ってしまったの…ふふっ

言葉はともかく、フォスの態度は頑なだったから何となく予想は付いてたの。話し合いなんて無駄だって。
だから僕、あの人を殺すことにしたの。
でもおかしいよね。フォスは僕が出してきた園芸用のスコップを、叩く道具だと思ってたみたい。
だって、腕を上げて頭をガードするんだもの。
柔らかそうなお腹ががら空き。
硬い石が混じっていることもある土を掘り返す道具なんだから、最初は突き刺すに決まっているじゃない。
ふふ…その後、あの人の中身をちゃんと掘り返しておいたけれどね…。
今は多分校庭の花壇の肥料になってると思うよ。

でも…一番困ったのはアレキだったわ。

ヤンデレのゴーストに死ぬ程愛されて夜も眠れない