(昨日、ラピスの頭部を移植したフォスが目覚めた)
(その彼がこちらに気付き近づいてくる)
(腕は合金でヒールも履いている以外見た目は完全にラピスだ)
(でも髪を触る癖なんて、本当に彼そっくりで…)
あ、君…
(ラピスが頭以外連れ去られて、フォスは頭を持っていかれて)
(大切な存在ばかり奪っていく月人が憎い)
(この体さえ脆くなければ、弱い特異体質さえなければ月に乗り込んでいるのに)
(いや、それは言い訳だ)
(憎しみは増幅するのに、結局は月人が怖い)
君、大丈夫…?
(心配してか、彼の懐かしい顔がこちらを覗き込む)
(無理して微笑むと、こちらの心情を知ってか知らずか美しい彼が笑いかける)
(ずっと動いているのを見たかった、その顔が)
(もしかして彼はラピスなのかもしれない)
(いや、何を考えているのだろう)
(だって目の前にあるのはラピスなのに、どうしてこれがラピスじゃないの?)
(そうしたらフォスはどこへ行ったの?)
(フォスが居ない。大好きなフォスが居なくなってしまった)
(違う!今は彼がフォスなんだ)
(じゃあどうして髪をそんな風に触るの?ラピスの癖を彼が知っているはずがない)
(あなたは誰なの?どっちなの…?)
…僕がラピス・ラズリだよ。
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