名前:フォスフォフィライト

硬度119

かわいい!りりしい!

…どうして謝るの?好きになることって悪いことではないよね。

もしかして夢魔である僕に気を遣ってくれてるのかな。もしそうだったら悩ませた僕が悪いんだ。

少なくとも今の僕は、君に好きになってもらえてすごく嬉しかった。


…初めて君のベッドで寝た時、布団の中が暑すぎて…人間の体温ってなんて熱いんだって思った。

でも今はそれが心地よくて、離れたくなくって…君と接するうちに、今が特別だってことを忘れようとしていた。


…分かってるんでしょ。僕が君以外の人間から精を奪えなくなってること。

あの出来事から急に命っていうものが怖くなってさ…今まで何とも思っていなかったのに、おかしいよね。

でも君のせいでは決してない。君が気負う必要は無いんだ。僕が夢魔なのに人間の感性に近づきすぎてしまった…ただそれだけのことだから。


……最期は試験とか夢魔とか人間とか、面倒なことを全部忘れて君の隣に居たい。

どうせ今から精を奪いに行くなんて無理だ。一生のお願い…聞いてくれる?


(フォスにそっと手を引かれ、真っ暗な部屋、ベッドの上に座り向かい合い両手を繋いだ)

(時計の短い針は11と12の間を指している。もう、時間がない)

(それでも気持ちが落ち着いているのは、きっと目の前の彼が優しく微笑んでいるから)

(けれど時間が経つにつれだんだんと焦りだす。魔界へ連れていかれる彼を、このまま何もせずただ見送ることしかできないのだろうか)

(そんな心情を察してか彼に抱き締められる。それと同時に首筋に痛みを感じた)

(はっとして彼の胸板を押すけれど、分かっていたかのように一層強く抱き締められる)


…ごめん。決めていたんだ。僕が帰る時は君に眠ってもらおうって。

君の不眠症、治すことができなかったから。最期だけでも安眠できるように。


(落ちそうになる瞼を必死に持ち上げフォスを抱き締める)

(同じくらいきつく抱き締めてくれる彼の体温が温かくて、思わず涙が零れ落ちる)

(意識がなくなる直前に見たのは、カーテン越しに映った、羽を持った人影だった)

♂好きになってごめんなさい