おかえり。今日はちょっと遅かっ……。
(喋っている途中で首元に勢いよく顔を近づけられた)
(くんくんと息を吸っている音がする)
……先輩の匂い。
(瞬間フォスが殴るような勢いで壁に手を付き大きな音が響く)
(感情を剥き出しにした彼が怖くて萎縮する。けれどもう片方の手が首筋を伝い顎を持ち上げる)
(その眼は初日、月明り越しに見た獣のような縦に筋の入った鋭いものだった)
…ヤったの。アイツと。
(何のことだか全く分からない。しかも喉に何かがつかえたように声を出すことができない)
(違う…振り絞った言葉に彼は納得の表情を見せない)
…まあいいよ。寝れば分かることだし。
(反論しようとするも首裏に鋭い痛みが走り思考が鈍くなり足元が覚束なくなる)
(そんな私を彼は抱き留め部屋を移動しベッドの上に放るように投げられる)
(その日の行為はいつものように痛みは伴わなかったが、乱暴に扱われている気がしてあまり気持ち良くは無かった)
♂ラピスラズリの匂いをつけて帰宅する