避けていたせいで噂が本当なのか直接聞くことも出来ずモヤモヤとした日々を過ごすうちに及川と顔を合わせて話す機会が着実に減っていた。


自分と話せなくても及川は平気なのか…それは彼女ができたから…?

胸の奥が締め付けられるような痛みに今更どうしたらいいのかとその場に蹲り膝を抱えた。





「…○○ちゃんっ!!」

名前を呼ばれて顔を上げると及川がこちらへ走って来た。心配して来てくれたのだろうか。


「どうしたの具合悪い?急にしゃがみ込むからビックリした………って、え」

考えるよりも先に及川に抱きつく。
驚いた及川の身体が強張るのを感じたけど構わず力を込めるとやがて優しく包み込むように背中に腕を回された。

「なんかあった?」

黙り込むあなたを責める事なく頭を撫でて問いかける。

彼女がいるなら優しくしないで欲しい…なんて抱きついておいて理不尽な考えにゆっくり離れる。すると及川は視線を交えようと顔を覗き込んできた。


「…ちゃんと話せてなかったよね。俺やっぱりだめみたいなんだ。○○ちゃんじゃないと……○○ちゃんが近くにいてくれないと」


あなたを見つめる及川の瞳は、哀しさを孕んだ優しい眼差しを向けている。


★高校時代…2