桜もいよいよ本番、花冷えの日が続く4月──…
受験するという友人もいたけれど、家から近いという理由で私はなんとなく北川第一中学校へ入学した。気心の知れた子や同じ小学校の多くが入学するようで特別不安はなかった。それでも新しい環境に早く慣れたいと皆がふわふわとした空気感で呑まれてしまったけれどそれも次第に落ち着いてきて……
最初のテストが終わり初めての席替え。
「○○さんよろしくね」

隣りになった男子は他よりも少し背が高くてそれだけで目立つ人だった。名前を「及川徹」と言った。
明るくてよく話しかけてくれる彼は嬉しそうに部活動の入部届を見せてくれた。バレーボール部に入ったらしい。
小学生の頃見た試合がキッカケで憧れた選手がいること、自分はセッターというポジションで頑張りたいといった話もよく聞いた。
バレーボールに関してキラキラとした眼差しと直向きな態度 “好き”だけではない努力家な部分が部活動の様子を見ていなくても言葉から十分に伝わってくるほど。
バレーボールがよくわからない私でも及川の話はとても面白かった。
それ以外の会話は幼稚な部分があったり時々からかってきたり互いにふざけたりする事も多かったけれど、楽しくて何より心地よかった。
そして席替えで隣り同士ではなくなっても彼との繋がりは消える事なく顔を合わせてはよく話すようになった。
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★北川第一中学校へ入学