(肩を振るわせながら笑い声を発する及川に強く頭突きし過ぎたかと憂慮の面持ちで構える岩泉の姿。そこにはピリピリとした空気はもう無くなっていてそこでようやく二人に近づいた)

(鼻血を止めるべくティッシュを差し出して甲斐甲斐しく世話をする私をじっと見つめて)


及川「○○ちゃん…今まで冷たくしちゃって本当にゴメンね」


(そう切り出した及川の口からはムカつく後輩がいること、県内最強と言われる白鳥沢学園中等部の牛島と呼ばれる選手に何度戦っても勝てなくて阻まれ続けた辛い日々、これまで悩んでいたことが次々と明かされていった。
及川の口からちゃんと聞けたことが嬉しくて何より吹っ切れたような表情でバレーボールを語る姿にじわじわと涙が出そうだった)


及川「泣かないで……でも俺が泣かせたんだよね不安にさせてゴメン。いつもそばに居てくれてありがとね」

(優しく頭を撫でられて堪えきれずほろほろと目尻から涙が溢れていくけれど、鼻にティッシュを詰めた不恰好な及川にちょっぴり笑いが込み上げてきてやがて体育館に二人の笑い声が響き渡った)






(そして中学3年最後の大会──)

★そしてある日…2