名前:及川徹
ジャンプサーブを54本 決めた
牛乳パンをあげる
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その日は委員会が長引いたり教員から雑用を引き受けて忙しくしていたせいで日課となっていたバレーボール部の見学に行けなかった。
今から行ったところでとっくに終わっているだろうなぁ…。
及川のことだから今日も休まず自主練を始めている頃だろう。集中しているのに近くにいると気が散るかもしれないし見学なら明日でも良いか!と思うはずだが……今日に限って何だか胸騒ぎがした。このまま帰っても気になるしやっぱり少しだけでも顔を出してから帰ろうと足を進める。
やがて体育館が見えてきて入り口付近に居た黒髪のおにぎりを食べている男子生徒とすれ違って会釈しながら扉に手を掛けた途端、中から言い争うような声が耳朶を打った。
声の主は言わずもがな岩泉と及川。
いつもの言い争いにしては度を越しているような不安に襲われて慌てて中へ入ると、ちょうど岩泉が及川の顔面に綺麗な頭突きをかました所を目撃してしまった。
てめえ一人で戦ってるつもりか 冗談じゃねーぞボゲェッ 1対1で牛島に勝てる奴なんか
北一
ウチ
には居ねえよ!!けど、バレーはコートに6人だべや!!
相手が天才1年だろうが
牛島
ウシワカ
だろうが“6人”で強い方が強いんだろうがボゲが!!!
胸ぐらを掴み揺さぶりながら興奮した岩泉の大喝は体育館に響き渡った。
はたから見ればただのケンカや揉め事のようで、そして何を当たり前のことを……と思われるような内容だったかもしれない。けれど及川は伝えられた趣旨を理解し真っ直ぐに言葉が胸に落ちたようだ。
頭突きをくらって熱くなった頭が一旦冷静になったこともあるが、及川にとってはっと気付かされたような事実であった。簡単で些細だが忘れてしまっていた見失いかけていたもの。
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★そしてある日…