「あのね、私は布教活動をしていただけなの」

「よじ登ることが?」

「だから違うって!

あそこの部屋にはね、まだ幼い子どもがいるの

その子にアクシズ教の素晴らしさを枕元で唱え続けようとしてたのよ」


「えぇ・・・そんな夜な夜な忍び入り、子どもに対して教えを囁(ささや)く、それが布教活動ですか?」

「だって!

昼間この孤児院に来ても門前払いされるもの!

いーい?

優れたアクシズ教徒になるにはね、子どもの頃からの仕込みが大事なの!

だから、わざわざ夜にこうしてやってきてるってわけよ」


「それは・・・不法侵入をして幼い子どもを洗脳しようとしている只の犯罪者では・・・」

「んぐ・・・、まぁ、見方によってはそう捉えられるかもしれないけど!

でもでも!

アクシズ教は素晴らしいのよ!

ねぇ、あなたもこうして女神と出会った縁もあるし、入ってみn」
「結構です」

「言い終わる前に即答で拒否しないでよー!」


やれやれ、只の熱心なアクシズ教徒が教えを吹き込みに来ただけのようだ

素性も分かったことだし、ひとまず警察に連れて行くことにしよう


「・・・っと!

あなた、この女神を警察へ突き出そうとしているわね?」


「そのとおりですよ

さぁ、おとなしく罪を償いましょう」

「嫌よ!私、狭くて暗い牢屋なんかに入りたくないもの!

ということで、逃げます!スピード!」



魔法を唱えるとものすごい速さでアクアは走り逃げていった

どうやら足を速くする魔法を自分にかけたようだ


「おーーほっほっほ!

捕まえてみようもんなら捕まえてみなさーーーい!!」



そんな高笑いを上げながら、アクアは夜の街闇に消えていった



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