その夜、俺は孤児院の隣にある孤児院より高い建屋の屋上から、暗視スキルを使って見下ろしていた


「さーて、今日来るかどうか・・・」


そんなことを呟きながら数時間待ち、時刻は0時を回った

すっかり街は静まり返っている

さらにそこから1時間ほど経過したところで・・・


「ん?誰かが近づいてくる・・・」


俺の敵探知スキルが反応した

こんな夜遅く、誰かが孤児院に近づいてくる

だが、ただの通行人の可能性もあるため、いきなり飛びかかりはせず、しばらく様子を見る

その人は孤児院の前に立ち止まると、周囲をキョロキョロと見回し、誰もいないことを確認すると、孤児院の敷地内に入った

アレで間違いなさそうだが、上からだと木の陰と重なり、少し見にくい

俺は音を立てないように動いて地上に降り、気づかれないよう、近づいていく

その人は、何か小声で魔法を唱え、体が一瞬淡く光ったかと思うと、壁の僅かな凹凸を使ってよじ登り始めた

強盗か・・・?

やがて2階にある部屋の窓に辿り着き、窓に手をかけたところで・・・俺が魔法を唱えた


「ファイヤーボール!」


俺が放った火の玉は真っ直ぐ目標に向かっていき、目標の背中に直撃した


「おあちゃーーーー!!!!」


その人は叫び声を挙げて地面に落下し、必死に転げまわって火を消した

俺はうずくまっているその人に近づき、威圧するように声をかけた


「そこまでだ怪しい者!

俺は孤児院の関係者から依頼を受け、見張っていた!

さぁ、素性を明かしてもらおうか!」

「ちょっとまちなさいよ!

誤解よ誤解!」



誤解であることを連呼する怪しい者は、淡いピンク色の羽衣を纏い、青系の服装をしている女性だった



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