「へいらっしゃい!」


店のドアを開けた途端、威勢の良い声が響く

ここはウィズという美人で巨乳な店主が経営する魔道具店で、今の声はこの店の店員、バニルという仮面を被っている怪しげな奴だ

バニルは会計中の客の相手をしながら挨拶をしており、こちらには目もくれない様子だ

ひとまず、陳列されている品をしげしげと見ていく


「このクマのぬいぐるみ、何だか変な気配を感じるな・・・」


思わず口に出るほど気味悪いぬいぐるみがある

商品名は、【不幸を吸うクマ】

説明書きは無い、これは何だろうか・・・?


「お客人!それはアンラッキーなことを身代わりになってくれるクマだ」

「うおっ!?」


突然、後ろからバニルに声をかけられて驚く

「あぁ背後から突然申し訳ない、商品説明をしようと思い、声をかけさせて頂いた」


気配に全く気付かなかった

このバニルという店員、只者じゃない・・・!


「そ、そうですか

実は、知人に一風変わったプレゼントを渡そうとしていて・・・ところで、このクマは、不幸があると代わりに受けてくれるという物ですか?」

「確かにそうだが、親しい知人へのプレゼント目的ならば、このクマは止めたほうがいいぞ」

「え、なぜですか?」

「それは、身代わり回数が10回に達すると、10倍返しの不幸がまとめて持ち主に襲い掛かるからだ」

「・・・絶対これにはしません」

「賢明である、それよりもお客人・・・異世界から来ているな?」

「な、なぜそれを!」

「吾輩、相手の過去や未来を少しだけ見ることが出来るのだ

・・・なるほど、あの頭のおかしい爆裂娘に渡すプレゼントだな」


「その通りです・・・」


頭のおかしい呼ばわりされてるめぐみんが少し気の毒になったが、肯定してしまう俺もイケナイ奴だろう

にしても、過去と未来が分かるなんて、考えが全部見透かされていそうで怖いな・・・


「ふむ、であれば、これはいかがだろうか」



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