「それは・・・私からの、バレンタインデーのプレゼントです」
「あれ、さっきのチョコは違うのか?」
「あ、あれは、ゆんゆんとの勝負に勝つための物でして、そんな騒がしいときにこれは渡したくなかったのです」
「でも、これも市販品なんだろ?」
「ち、違いますよ!
それは私の手作りです!!」
「そ、そうか、それじゃ、頂くとするよ」
かなり顔が赤くなっているめぐみんをなだめながら、箱を開ける
中には、不揃いな形をしたチョコクッキーが3個入っていた
これは・・・ハートのつもりだろうか・・・
「ど、どうしました?やっぱりヘンでした・・・?
色々レシピを見ながら何度も作ったのですが、どうしても綺麗にならなくて・・・
頑張ったのですが、一番良いのがそれだったんです・・・」
「い、いや、とても手作り感があっていいと思うよ!
早速いただきます!」
そうして、クッキーを口に運ぶと・・・
「ん?・・・んん?
こ、この味は何とも・・・」
「だ、ダメでしたか・・・?
すみません、やっぱり美味しくないですよね・・・
市販品を渡せばよかったです・・・」
やばい、めぐみんが泣きそうな顔になってきた
ここは無理して・・・
「いやいや!美味しい!美味しいよ!
いやぁこれなら何十個でも食べられちゃうなぁ!」
「本当ですかっ!
それはよかった!
実は、何回も作っては形が気に入らず、失敗作となったクッキーがたくさんあるんです!
あとでお家に届けにいきますので、全部差し上げますよ!」
「げぇっ!?ま、まじか・・・?」
「マジです!
こんなに褒めてもらえるとは思いませんでした!
アクアやダクネスは、微妙な顔をしながらひきつった笑いしかしませんでしたからね」
な、なんということだ・・・
捨てるわけにもいかないし、俺は今日からしばらく三食この微妙な味のクッキー漬けの毎日を送るのか・・・
「えへへ!
頑張って作った甲斐がありました!
あなたにこんなに喜んでもらえるなんて
私は嬉しいです!」
「そ、そうですか・・・それは良かった」
「では、お返しを楽しみにしてますよー!」
「あ・・・そうでした・・・」
そうだ、バレンタインデーの勝者は、1か月後、ある重責を背負うのだった
ホワイトデーという強制的なお返しイベントをこなすという、重責を・・・次へ