「それではケイ、ダクネス、行きましょう!」

おおー!






出発してまもなく、めぐみんが何やらごそごそと手紙を取り出した


「実は出発前にポストを確認すると、里から手紙が届いていたのです」

「へぇ、手紙か

何て書いてあったの?」

「まだ読んでいなくて、ええと・・・

『里からの最後の知らせとなる手紙を受け取っためぐみんは、目の前にいる青年と共に魔王軍へ最後の闘いを挑まなければいけないことを察した

既に魔王軍による侵攻で始まりの街アクセル以外は壊滅

生き残りは紅魔族が残した地下シェルターに籠り、魔王軍へ最後の闘いを挑むべく、機を見計らっている』


「・・・え?」


俺が思わず呆然とした様子で声を発すると、ダクネスも同様に


「な、なんだこれは、どうなっている!?」

「ええと、これはですね・・・ま、まあ、読み進めると分かりますので・・・」

「わ、分かった・・・めぐみん、読んでくれ・・・」

『めぐみんは、かつての好敵手、ゆんゆんと合流した

だが、魔王軍との死闘を繰り広げたゆんゆんは既に瀕死状態であった

ゆんゆんから究極魔法マダンテと、神杖・カドゥケウスを受け取り、やがてゆんゆんは・・・』


「ちょ、ちょっとまってくれ!

ゆんゆんは死んだのか!?」

「いえ、そうではなくてですね・・・とにかく続きを聞いてください」

『好敵手との別れに悲しむ間もなく、めぐみんは前を向く

その傍らには、勇者の剣を装備した青年

二人は地下シェルターの仲間と共に、最後の・・人類の存亡をかけた最後の闘いの狼煙を上げた!

【紅魔族英雄伝 第二章 著者:あるえ】』


「・・・著者?」

「あぁ、なるほど・・・」


ダクネスは何かを察したようだが、俺は今一つピンとこない


「紅魔族には、あるえという作家がいまして、その子の作品なのです

たまにこうして、私に作品を読んで欲しいのか、手紙で送ってきまして・・・」


「紛らわしいんじゃああああああ!!!!」


まったく、何て紛らわしい物を送ってくる奴だ

俺は思わず大声でツッコミを入れていた


「わああ!ケイ、落ち着いてください!」

「ケイ!気持ちは分かる!私も最初はそうだった!」


二人になだめられ、俺は冷静さを取り戻し


「・・・ごめん、こんなこと初めてで、取り乱した・・・もう大丈夫」

「良かったです、私が最初に断りを入れるべきでしたね、すみません」

「いや、いいんだ・・・あるえという人、一度会ってみたいね・・・」

「紅魔の里に引きこもっていますので、里に着けば会えますよ」

「そ、そうか・・・」


俺たちは気を取り直し、紅魔の里への歩みを進めた



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