(先程から少年の口から何度も聞く、妖怪という言葉。妖怪なんて、存在するはずもない。だけど、実際に襲ってきた生物たちは見たことがないものだったし、目の前の少年が自分を揶揄っているとも思えない。恐らく、ここを立ち退かなければ、再び妖怪に襲われるということは事実だろう。とはいえ、自分には此処が何処なのかも分からなければ、帰る術も分からない。初対面の少年に縋るのは筋違いだと分かっていながら、生きるためにはこの少年に助けてもらうしかないとも思い、何とか事情を説明しようと試みた)

はあ?他の場所からいきなり此処に飛ばされたって?……何言ってんだ、お前。

(やはり信じてもらえないらしい。明らかに、「コイツ頭がおかしいのか」という目を向けられている)


んな訳の分からねえ嘘ついて、何の得が……
…いや、何の得にもならねえか?
(馬鹿にするように鼻を鳴らして視線を逸らした後、何やら考え込んでいた少年が、再びこちらを向いた)

それじゃあ、まさか本当に?


出会い4