時は現代。移動の車中で本を開く。昨日から読み始めた歴史小説だ。舞台は戦国時代。群雄割拠の時代と言うに相応しく、様々な登場人物たちが血で血を洗う争いを繰り返している。

わくわくしながら読み進める一方で、本を閉じれば、少しの違和感と疑問が生まれた。
戦国の世を生きた彼らは、本当に覇権が欲しかったのだろうか。覇権を欲して争うのは、真に彼らが望んだことだったのだろうか。

時代に翻弄された彼らへの同情から、力の抜けた体を座席に預ける。もはやわくわくとした気分は消えており、紙の上の人々に想いを馳せて目を閉じた。


出会い1