名前:笹山みとね

さてここで問題です。今39杯目でしょうか?

禁酒

(近所と言っていたが4kmは歩いた。確かに「近所」ではあるがみとねの行動範囲を考えたら近くはない)

(話が途切れてから少し経った頃、すっかり冷えた指先で控えめに触れてくる。抵抗しないで横目で様子を窺っていると、こわごわ開かれた手のひらが見た目通りの頼りなさで繋がりを求めてきた)

(握手の様に指は絡まない。垂れた腕がV字状で一つになるだけで、それ以上はない。寒そうなみとねの鼻先や頬と同じ色をした指先は徐々に火照ってきて、ちょっとした動揺から視線が泳いだのが分かった)

(まだ仄暗かった空が明るく澄み渡るまでの約一時間、人の少ない時間帯の道をそうやって歩いていると目当ての神社に辿り着く。「片喰神社」…という名前らしい。閑静な住宅街の奥、木々の隙間に急で狭い石段が伸びる)

(一段一段踏み締めて上りきると鳥居と狛犬、玉砂利の敷かれた地面、参道の先には小さな社が見えた。確かに小さいが手入れが行き届いていて、古くから地元で愛されている神社だと感じた)

初詣までの険しい道(思い付き)