だっ……、……駄目。足りない。全然足りない。もっとだよ、恋人の期待に応えるのは彼氏の務めだよ。彼女からだって言われた回数だけきちんと返すし、あの、だからね……1%も満たせてないから100%満杯になるまで言い続けてくれなきゃ今日は離さない。トイレに行きたがっても拘束解かないから覚悟しておいて。ん、う、………すき、君がすき………復唱。

(背中で繋いでいた手を首の後ろまで持っていって、首筋に頬を当ててみる。伸びっぱなしの邪魔臭い髪の毛は片側に流して、君を感じる。ひんやり冷たく感じるのは錯覚じゃない。顔中の熱が集まっている証拠を突き付けられたみたいで、そこから何もかもバレてしまいそうで、ギクッとした)

(彼女が甘える仕草ってきっとこんな感じだよね、猫のマーキング？擦り寄って匂いを移して貰ってるんだから意味は逆かな)

(近過ぎて何だか目眩がする、くらくらちかちか瞬いて、項垂れる様にそこへ顔を埋めると上唇が当たったけど……もう良いか、これって全部ごっこなんだから………)