(すっかり通い慣れた邸宅の扉を引く。びくともしない。前以て訪問時刻は伝えておいた筈なのに、何故か玄関のドアはしっかりと施錠されている。不在だろうか?肌を刺す冷気に身を震わせながらインターホンを押すと……)
あっ、……あの、はい……どうもこんばんはですご機嫌ようです本当に来てくれるなんて思いませんでしたはい……。
な、な……何も言わずに入って来て下さい………。鍵は今開けます、あっ、ちょっと待ってからでお願いします……。
玄関前で待たせるのは酷だけどお願いします……。(小声で、しかも敬語で返事が返ってきた)
(………妙だ………)
寒いから入るよ