〜〜〜っ!(ぎゅっ…)



兵:はっ!?なんだ、あいつ…!何してる!

だ、抱き合って……いや、違うぞ。裟羅様の脚・・・両足とも浮いて・・・

おいまさか…や、やめろやめろ!ふざけるな…!俺の憧れの九条裟羅様だぞ!お、お前なんかが…!




(ゆさっ…♡)


兵:あ、あああ…


(ゆさっ♡ゆさっ♡ゆさっ♡たんっ♡たんっ♡たんっ♡)


《両脚を開かせた女の股座に目掛けて腰を振る男と、そのピストンに合わせて一緒に揺れる女の身体…。

一見抱き合ってるように見える男女でも、その動きがあるだけで知識があれば二人が何を始めたのかは明白だった》


兵:あ、ああ…、ああああぁ!ああああー…(頭の中がぐちゃぐちゃになる…、なんで、どうして!俺が俺の方が、俺の方がずっとずっと前から好きだった人なのに…!!

裟羅様のあの身体があんなやつのものになるなんて認めたくない…)


……?

なんだ・・・?


《───違和感。

詳細には見えていないが…あの動きから"仮に"二人が行為に及んでいたとした場合。理解できないことがあった。


九条裟羅は自ら足を開いているのではない。旅人により抱きかかられ、開かされている状態だ。

それは自らの意思で閉じることは叶わないことを意味する…。

この行為の果ての結末がどうなるのか・・・分かったところで今の裟羅には拒む術などない。

この行為の迎える結末の全てを一任されるのは旅人。その旅人の腰を振るペースは衰えるどころかより速さを増していた。


その躊躇の無さから嫌な予感がよぎる…。


普通なら、もうとっくにペースを落とし…。いつでも抜く準備をすべき頃合いだろう。それでも尚旅人はペースを落とさず、深々と裟羅の中へ突き立てる。

この行動の意味するところは、つまり・・・》



兵:お、おい…?(ごくり…)

…やめ、ろよ…?そんなこと…。

ばっ、ばかばかばか!…やめろ!嘘だろあいつ…!そんなこと…

(嫌だ嫌だ嫌だ!そんなの絶対に嫌だ。あいつ…、あいつ…!!)


《裟羅に想いを寄せる兵士にとって最悪の言葉が脳裏によぎる。しかしそれは・・・男なら誰しも抱く野生本能剥き出しの素直な欲望。


───中出し♡


そう、旅人は九条裟羅に中出しをする。

九条裟羅は、旅人に中出しをされる。


兼ねてより想いを寄せた女性。名家の武人であり、気高く・・・スタイルもいい。

男が裟羅を見ればみんな生唾を飲み込みたくなる女だ。

願わくば俺と・・・。そんな劣情を抱かずにはいられないほどの人が。今まさに。目の前で。自分以外の男から……中出しを受ける。

夢であっても受け入れ難い事実。

あの九条裟羅を相手に中出しを企てたくなるのはもはや男の本能だ。あわよくばそれで身籠れば…そんな妄想は誰しもが通る道…。妄想だけなら・・・》


兵:嫌だぁぁぁー!やめてくれ!頼むから、それだけはやめてくれ!これ以上俺たちの裟羅様を汚さないでくれ…やめろ!こんなの、こんなの…絶対何かの間違いだ!


《吠えるだけ吠えても、この男には物陰から飛び出す勇気などない。それはこれまで通りだ。今までと何も変わらない。ただただ見つめるだけ。


まだ、裟羅の胸部や陰部でも見えれば役得だったかも知れないが、この男にはそんな幸運すらない。

彼には雲の上の存在に感じ、ずっと純潔でいるものだと信じていた憧れが……むざむざと中出しをされ、他の男の所有物になるのを見せつけられるしかない。

そしてとうとう…。男にとって望まぬ瞬間が訪れた。》


〜〜〜〜っ!♡♡♡(ビクンッ!❤️)


兵:……あ、ああ…(最悪だ。今の・・・裟羅様の反応は…)


《旅人が腰を大きく突き出し、ガクガク痙攣したとほぼ同時だった。

裟羅は脚をビクンと跳ね上げ、天を仰ぐほどに背中を仰け反らせた。


中出しが成された証拠だ。しかも、相当奥深くに解き放ったのが両者の反応から見て取れる。

・・・最悪の場合、今の射精で出た精子は裟羅の子宮内に…

そんな可能性すら感じ取れる反応だった。》



兵:(知識としては知っている。よく読む本と一緒だった。

でも裟羅様に限っては、そんな絵に描いたような女の反応はしないものとのとばかり思っていた…。

そんな愛らしい姿も見れたら男として誇らしいなと思うだけで・・・

いいや、本当ならしないだろう。裟羅様はそういうお方だ。だから今のは・・・)


《させられたんだと、認めざるえなかった。

普通の男相手なら裟羅はあんな女々しい果て方などしない。

いつでも気丈に、凛々しくある将領だ。そんな裟羅でさえも、生娘の如く惜しげもなく仰け反り絶頂を晒してしまうほどの男が旅人なんだと…彼は理解せざる得なかった。

そんなの、自分のようなちっぽけな男では逆立ちしたって敵わない…


兵士の男は冬空の下、旅人のように暖め合う人肌もないのに、気付けば陰部を露出し、射精していた。

旅人とは違い、なんの役目もなくただ無駄に空虚に飛び散らすだけで終わる。それに対し旅人のは・・・


その格差に打ちのめされた彼は、歪んだ視界を拭うことも忘れてトボトボと帰路についた。》



裟羅バレンタイン番外編5