名前: 八重 神子
所属国:稲妻
〜説明〜
鳴神大社の宮司であり大巫女。そして八重堂の編集長も務める。掴みどころのない彼女の素性を探ろうとする者は数多くいる。
だが、彼女の千変万化はただの気まぐれにすぎない。どれが彼女の真の姿なのか…。答えのない謎かけに勝手に頭を悩ませる不届者は後を立たない。
彼女はただ永遠に英知と美貌を兼ね備えた存在だ。
〜人物〜
八重神子は尊き鳴神大社の宮司として威厳に満ちた存在であり、奸智にも長け優秀だが、彼女が宮司になった理由は以外にも油揚げだった。
まだ幼かった八重は好きなだけ油揚げが食べられるからと、油揚げに釣られて宮司になってしまった。
「少し遠出をする」そう言った狐斎宮様の言葉を純粋に信じて疑わなかった八重は油揚げを頬張りながら帰りを待ったことだろう。だがそれきり戻ることはなかった。
それから一人。誰に教わるでもなく、頼ることも甘えることもなく八重神子は鳴神大社の宮司としての威厳を崩さず、稲妻の祭典にも力を入れ常に人々の期待にも完璧に応え続けてきた。
果たしてその背景に微塵の苦労も無かったのかは、親友の影ですら知ることはないだろう。
〜経歴〜
まだ稲妻の地上に妖怪が多く残っていた時代。妖たちは想像を絶する力を持っていた。
その力を持って妖怪たちは人々の農業に手を貸し共に苦境を生き、決して見捨てず苦難を乗り越えてきた。
そうして山に避難した者たちはやがて海辺に城を築いていった。
───これが「稲妻」の始まりとも言われている。
そんな妖の中でも白辰の一族は最も偉大で大妖怪を代々と輩出することから無数の伝説を残していた。
そしてその白辰の血を引く八重神子は特に狐斎宮様からもよく可愛がられ、その肩に乗っては狐斎宮様が開く宴に参加していた。
妖怪たちが酒を酌み交わすときはみんなは決まって自分達の伝説を得意げに語る。
それが真実がどうかは誰も気にしない。ただ楽しく酒が飲めればそれで良い。そしていつしかその宴は「百物語大会」と呼ばれるようになっていった。
今宵も八重は妖怪たちの嘘か真か分からない自慢話を聞いてはその矛盾点を指摘していた。
妖怪たちはすぐに言葉を訂正するが、八重はまた新たな矛盾点を見つけての押し問答を繰り広げる。このようないつもの日常に狐斎宮様も思わず笑みを浮かべ、そろそろ次の話を聞きたい頃だと八重をなだめた。
狐斎宮様にたしなめられ黙ってもきっと八重ならいつか大人になった時にこの話を覚えておいて、嘘だと暴いてやろうと思ったことだろう。
そうして皆が満足がいくまで酔っ払い語り終わると妖たちは天へ昇っていく。空と月を覆い隠すその妖怪たちを見て人々は「無月の夜の百鬼夜行」と呼んだ。
それから五百年の月日が経ち、小狐だった八重は大人になり・・・酒の味も覚えた。
しかし、自慢話で酒を酌み交わしていたあの賑やかな妖怪たちは・・・もう誰も残っていなかった。
あの話が嘘か真か、もう確かめる術はない。
それでも八重は彼らがこの地で人々を守る為に勇敢に戦ったことは知っている。
〜旅人との出来事〜
自身の神であり残された唯一無二の親友。そんな影すらもこれ以上失うことを恐れ一心浄土へと閉じこもってしまった。
それからというもの、ただ一人取り残された八重は稲妻の安寧を数百年もの間静かに見守り続けていた。
そんな八重にとって、一度は歩むことをやめてしまった彼女を命懸けで取り戻し
再び自分と共に前へ進ませてくれたあなたを見る目は…
…果たしてただの面白く愉快な異邦者に留まるのか・・・・はたまた…「妾は数々の小説を読んできたが、自分で書いたことは一度たりともない。───じゃが、汝の旅が終わり、誰かに物語を記録してもらいたいと思った時……もし妾の手が空いておったら…」
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