ス「メイド!!こんな所にいやがったのか!
どこ行ってやがった!?
お前の部屋にも談話室にもいねぇで、どんだけ探したと思ってんだぁ!!!」

(息を切らしたスクアーロがあなたの肩を掴んでいた)
(仕事から戻ったばかりなのか、薄ら汚れた隊服のままだ)
(ブーツの跡やガラスの破片がついている)
(あなたを探し回っていたらしい)

ス「はぁ…やっとだぜぇ……いや、何でもねぇ。
おら、土産だぁ。」

(カサリとビニールの音がして、目の前が深紅に染まると花の香りが拡がった)


(真っ赤な薔薇の花束を雑に差し出す銀髪の男がそこに居た)
(童話の中の王子様のように跪いている訳でも、きちんとキメた勝負服を着ている訳でもないのに、なんだかその光景は一枚の絵画のように惹き込まれるものがあった)


ス「…か、帰り道に市場を通ってなぁ。バレンタインのキャンペーンだとかで配布してたんだぁ。無理矢理押し付けられた。
お、俺が持ってても仕方ねぇからお前にやる!!じゃあなぁ!!!」

(差し出した薔薇の花に負けず劣らず顔を真っ赤にしたスクアーロは、あなたの胸元に花束を押し付けて受け取らせると、踵を返そうとした)
(その時、冷蔵庫にひとつだけ残っているケーキの存在を思い出す)


ス「なんだぁ!!オレはボスに報k…ん?

ケーキ?…くれんのか?オレに?
あッアレか、今日もルッスーリアと菓子でも作ってたんだな?
礼は言っとくぜぇ、ありがとなぁ。後で頂くぜぇ」


(小さくなる銀色を見送って、手元の花束に視線を落とす)
(ふと、以前浮気について話した時の言葉を思い出した)
(イタリアはバレンタイン発祥の地…)
(愛を大切にする人種…)

(…ケーキに込めた意味と同じかも知れない、と少しだけ期待してみた)


おまけ
バレンタイン2019スクアーロ