バキィッ


豹那「ッブ!!?」


((聞いたことのない音がなって、顔をあげたとき豹那さんは私の視界にいなかった。
豹那さんは、部屋の壁に寄りかかっていた。
その頬は赤く腫れている。

私の傍で、少し赤くなった拳を携えているのは虎幸さんだった。
あの、優しい虎幸さんが兄弟に手をだしたことに頭が追い付かない))



虎幸「普段の君ならあの程度避けられただろう。
疲れきっている証拠だ。
コートを脱がないってことは、政府で何かしらの暴行でもうけたか。
もしくは、帰り道命知らずな能力者に襲われてその返り血でも付いてるか」


豹那「...」

虎幸「月子が君をどれだけ案じ君を想っていたか何故分からない。
自分だけだと思ったら大間違いだ。

君には休養が必須だ。
その頬の腫れが引くまでは。

コレでも渾身の半分くらいで殴ったんだ、そう簡単には治らないよ」


豹那「...」


((ポンッ、と私の頭を撫でて、優しく微笑み虎幸さんは退室していった。

豹那さんは暫く顎の辺りをいじっていたかと思えば、両手で顔を包む。
ゴキッという音がなって、ふぅと息を吐いた。

...え、まさかこの人顎はずされてたの!?
殴っただけで顎外れんの!?))



豹那「何が半分だ...。
半分も出してねぇだろ...。

はぁ...。
パンチくらって顎はめなおしたら疲れたわー。
甘いもんと、うまい茶飲んで休みてぇわー」


♂...!今、用意しますね!(こぼれた涙を拭ってアップルパイとお茶の準備をしに走る)




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