((豹那さんの細い左上腕部には、見たこともない刻印が確かに刻まれていた。
これが、刻印...。
私が認識したのを確認したようで、今度は背中を向けて髪をかきあげた。
うなじに至るまで傷だらけで、無駄なものがない背中には
その刻印がしっかりと刻まれていた。
二つの、刻まれた刻印。
それは、豹那さんに闇之の血が色濃く流れている証。
生まれたときから、家元になるのを強制されているんだ))
豹那「五十代目という節目で、女の家元最有力候補が生まれるなんて思わなかっただろうな...。
体こそ弱いわけではないが、父があれだ。
早く死ぬ、という予兆かもしれない。
だが、祖父は私達が大嫌いだ。
だから、私の存在をなかったことにして私達の長男を家元にするだろうな。
...それも、四十八代目が黙っちゃいないだろうが。
どの道、私は闇之に縛られる。
酷く残虐で、嗜虐的で、人をいたぶるのに快楽を、陥れる悦楽を持っているんだ。
私の父のようにな。
家元に興味の一つもないが...。
他は違う。
もしかしたら、長男は私を殺しに来るのかもしれないなァ」
((服を直しながら飄々という豹那さんが逆に恐ろしくて、背筋が凍った))
((あ...))