((目が覚めたら、知らない場所にいた。
真っ白で、つんとした匂いのする部屋はビョウインというらしい。

私のオヤだという大人の人に抱き締められても、困惑するばかりだった。
イシャは、私をキオクソウシツだといっていた。

両親だという大人の人の話だと、私は長い間行方不明だったらしい。
諦めかけたとき、頭を怪我した私が海岸の辺りに横たわっていたという。
怪我は治療されていて、見つかったときから包帯が巻かれていた。


私は、今までどこにいたんだろう。
そこだけが、がっぽり抜けている))


「これ、貴女が見つかったときに着てた服よ。
ポケットに栞が入っていたわ」


((シオリ...?

受け取ったそれは、椿、と、桜...?の花弁がオシバナにされたお手製のシオリ...?だった。
花なんてわからないけど...。
それをみていると、とっても懐かしくなる。


私は...何を失ったのかな...?))


「明日には退院できるわ。
そしたら、一緒にお散歩にいきましょう」


((歩けば...何かわかるかな...?))



散歩に行く




記憶喪失