『何故...!?
抗能力者抑制装置は...!』豹那「盲点だったなァ坊や。
破壊獣は概念であり能力ではない。
抗能力者抑制装置で封じられるものか」
((豹那さんが私に背を向けた。
彼女の尾が、私の体に絡み付く。
そのまま向かうは___。
扉だ))豹那「わァってンだろうな
神喰いの獣!!
自由を与えてやるんじゃねェ、宿主を変えてやるんだ!
その子を巣食い殺そうものならただじゃすまさねぇぞ!」
『よく吼えられたものだ小娘!』((ほんのまばたき一瞬で。
豹那さんの背中から、豹那さんの背丈ほどもある獣が飛び出した。
その尾に私を絡めたまま、長く逞しい四肢を動かし扉へ向かって行く獣。
バツンッと。
獣の爪で、豹那さんの抗能力者抑制装置が切り落とされた。
遠ざかる背中に手を伸ばすけど、獣が私を離さない。
何が起こってるかもわからない。
ただ、豹那さんがニヒルに笑って、扉に手のひらを向ければ。
彼女の衝撃波で鍵が壊され。
獣が頭から突っ込む。
扉の先は、まるで森だ))豹那「番犬の娘の元で生きろ月子!
アレにはまだ、お前が必要だ!!」
((豹那さんは____?!
私の問に、彼女は答えてくれなかった。
ただ。
微笑んで。
体に絡み付く鎖を、悉く断ち切る強さを見せてくれた。
やがて、私の視界から豹那さんが消え木々に包まれる。
伸ばした手は結局、いつも誰にも届かない))この命は、与えられた命