豹那『乗れ、そして掴まっていろ。
跳ばす』


((豹那さんにそう言われ、見とれるのをやめて彼女に近寄った。
鼻を突き出され、それに掴まるとそのまま背中に乗っけられた。
思ったよりももふもふだ。

私がしっかり掴まったのを見て、豹那さんが踏み出す。


巨大な獣は、そのまま跳躍して。
学園はあっという間に見えなくなった。
向かい風に吹き飛ばされないようにしがみついてて、景色どころではなかった。
下手な強風よりすごいぞこの風。

相当な早さだ。











走り初めて二十分ぐらいだろうか。
次第に豹那さんがスピードを落としはじめ、私を尻尾でくるんだ。

目的地に着いたようで、そこに降ろされる。
私が地面に足をつけると、豹那さんも人間に戻って隣に立った))



「こんな時間に何用ですか、暴君の娘」


((凛とした声のあと、私達の目の前に降り立ったのは軍服の女性だった。


黒いメッシュのはいったシルバーの髪を高い位置で結い上げている。
片目には眼帯があった。
全体的に細いであろう体は軍服に隠されていた))



豹那「頼みがある、番犬の娘。
こいつを預かってほしい」


((唐突すぎる言葉に、番犬の娘と呼ばれた女性は眉根を寄せた。
それもそうだ))



「...何故です」

豹那「学園には置けない、危険だ」

「何故」

豹那「...私が暴れるかもしれない。

私は、この子が大事だ。
この子には辛い思いも痛い思いもさせたくない。
私の身分でこんなこと頼むなんておかしいのはわかっているが、それでも。


頼む、番犬の娘」


頭を下げた




破壊獣の、豹那さん