((私の心は、あれを知っている))


「っ、何しやがんだテメェ!!
卑怯だぞ!!」


「ッハ。
無抵抗で力のない小娘を襲う暴漢が何を言う。

貴様らの失敗はな、近付いたのがその小娘であること。
私の機嫌が頗る悪いこと。

そして、こわぁい番犬サマが居たことだ」


((言葉の意味を考える前に、私は突然目もとを隠された。
肌に当たる感覚は、多分手袋。

ふわりと、花のような匂いがした。
キツいものじゃない。
自然な匂いだ))


ブシャァッ.....


((前触れなく音が鳴って。
風にのって鉄の匂いがした))



「...許可なく触れたことはお許しください。
ですが、ご用心を。

遅い時間に一人で出歩いてはいけません。

貴女は、何も見ていません。
偶然此処を通っただけです。
何も聞かず言わず、お帰りください」



((まって、待って...!
伝えたい、聞きたい、言いたい。

...ナニヲ?))



...っ、あの!私を“また”守ってくれて...、ありがとう!(涙をこぼす)




知っている