豹那「痛みが全くないわけではないわ。
いつの間にか...著しく痛覚が鈍ったの。

この歳になった時は、まだ痛覚はあったわ。
まぁ、そうは言ってもやっぱり常人よりは鈍い方だったと思うけど。
ただ、獣の力を手にして、その後も戦いの連発。

ある日、足を滑らせてしだれ桜から落ちたの。
体から、ボキッという音は聞こえた筈なのに、一向に痛みはやって来なかった。
それが、始まり。

それ以降。
戦闘で斬られても、刺されても、折られても、間接はずされても...痛みが来なかった。
完全になくなったわけではないにしろ...ほぼないに近い。

感謝したわ。
負傷しても、痛みで体が怯んだり動きが悪くなったりしないんだから。

まぁ、逆を言えば負傷しているのに気付かないからとことん自分を追い詰める。
自分の首に絡まった真綿を、自分で引っ張っているようなものよ。


だが、私はやめないわ。
痛感を投げ捨てて命を削ることで学園を守れるなら...そんな素晴らしいことないじゃない」



痛覚