豹那「...優しい方よ。
政府直属の軍人で、暴君に肩を並べる強さを持っていたわ。
その従順さ故、番犬とも呼ばれていたわ。
暴君の二つ年上で、同い年の奥さんと結ばれ二人の子宝にも恵まれた。
まさに、成功すべき方。
だが、暴君は彼を貶めた。
白薔薇と呼ばれた彼の妻は蹂躙され、最後は舌を抜かれ失血死したわ。
彼と二人の子供も捕らわれ、ずっと弄ばれたのよ。
結局、番犬はありもしない罪状を突きつけられて断頭台にたたされた。
二人の子供は、番犬の騒ぎに町中が注目する中を抜け出したわ。
彼らがいた檻の中には、大量の血と、焼けただれた何かと、爪が転がっていたみたいね...。
その中で暇な貴族相手に何をされていたかは想像ついたわ。
後の方に、二人の子供の兄の方も遺体で見つかったわ。
つっても顔が潰されていたから状況と鑑定の結果だけれど。
兄の方の遺体も引き取られ、両親共々政府の地下に保管されているわ。
暴君に声をかけたばっかりに、番犬はすべてを...自分自身すら奪われた。
暴君が、番犬を貶めた理由はまだ不明ってことにしといてるわ。
逃げたした子供のもう一人?
...スラム街を兄と共に生きていたが、途中で兄が死に一人で生きていた。
時には別の町で捕らわれ見世物にされても、生き抜いた。
その後、とある屋敷に護衛として身を寄せているわ。
え...?
ここまで詳しい理由?
さぁ...何でかしら?
どっかの、番犬の意思を継いだ娘が教えてくれたのかもなぁ...」
番犬