((来たときと違って、帰りはスムーズだった。
さっさと帰れ、という意味だろう。
車に揺られながら、重い空気の中竜也君が口を開く))竜也「あ...あっちの人に迷惑かけんなよ。
わがままも言うなよ。
あと...」狼華「憎まれ口やめんかー!!(ベシッ」竜也「あいだっ!!」((双子は相も変わらずだけど、それが良い。
車内の空気が軽くなった))豹羅「迎えにも会いにも行けねぇが、お前なら大丈夫だ。
あっちの方が便利だし」狼華「大きなお屋敷だよ!
いい人ばっかだし!
困ったことと言えば...思い付かないや。
月子ちゃんと離れるのは寂しいけど、またいつか会えるから!」竜也「...達者でやれ」虎幸「困ったら屋敷の人に言いなさい。
善処してくれるさ」((口々に言う皆に、不安が少しずつ払拭される。
でも、豹那さんは黙ったままだった。
学園に着いたのは暗くなる直前。
すぐに荷物をまとめて、再び昇降口に出れば豹那さん一人だった。
煙草を吸っていた豹那さんは私に気付くと、それを揉み消し歩み寄ってくる。
深月で、星のない。
暗い夜だ))豹那「行くぞ」
((言うや否や、豹那さんの姿が変化する。
学園を優に越える巨大な獣。
どっしりした四肢に支えられた体と、威厳のある目。
見え隠れする牙が恐怖を誘うが、怖くはない))破壊獣の、豹那さん
帰ろう