豹那「...あまり他言するなよ?
長くもなる。
それでも良いわね?
闇之が今もなお栄えているのは貴女の知るところね。
闇之が歴史の表舞台に出始めたのは、大明治維新より前よ。
突然財政界に名乗りをあげ、世界の五本の指にはいるまでに至った。
初代当主はその天才的な手腕で一躍脚光を浴び時の人となった。
その割りに無欲な方で、富を手にしや名声を浴びても傲ることはなかった。
だが、体が弱かったようで闇之が世界に登り詰めてから十年後に亡くなってしまったの。
その後は彼の長男、といった具合で今まで続いたわ。
闇之の家元になる者には、いくつか特徴があった。
初代当主の呪いか否か...正式な家元となる者は体が弱く、若くしてなくなってしまう。
嗚呼、正式というあたりはあとで説明するわ。
正式な家元は、体に闇之の刻印が二つ以上刻まれているの。
あとで見せるわ。
闇之の姓を持つ者は、必ずそれがある。
二つ以上ある、それはつまり闇之の血がそれだけ強く、色濃く流れている証だ。
さて、正式ってあたりね。
さっき言った通り、闇之の家元...いや、家元最有力候補は皆体が弱い。
だから、家元を継ぐ前に亡くなってしまったりするの。
...家元を狙うものに殺されもするわ。
そういったときは、家元最有力候補の三親等以内の親族から選ばれるわ。
その者は体に刻印は一つしかないから、正式な家元ではないでしょう?
闇之は汚いから、正式ではなくても家元になるため兄弟従兄弟を殺すことは多々あるわ。
表沙汰にならなければ、捕まらないんだもの。
そうやって、闇之は血塗られた家元を増やしてきた。
それから、代々家元になるのは男だった。
男系ってわけではないが、どう言ったわけかそれが続いてるの。
今、闇之は四十九代目よ。
四十八代目は私達の曾祖父。
例に違わず、家元最有力候補を蹴落として玉座を横取りしたクソ野郎よ...虫酸が走るっ!!
...熱くなったわ...。
四十八代目は御年九十になるが、正式な家元ではないから健康体よ。
ま、よる年波は越えられないようだが...。
で...四十九代目が、暴君...私達の父親だ。
癪だが、奴は体に二つの刻印を持つ正式な家元。
四十八代目から座を引き継いだが、現在は行方知れず。
だから、今でも催事や政は四十八代目が行っている。
とはいえ、四十八代目ももう年だ。
四十九代目不在とはいえ、五十代目が必要不可欠になってきた」
で、五十代目は誰なんですか?