((あの無機質な声が聞こえたかと思えば、俊太君の体は椅子に引き戻されていた。
豹那さんが臨戦態勢を解き、狐來さんもあげていた手をおろす。

正確に言うなら、投票の時いつも私達を縛り付けるあの鎖に、絡めとられていた。
でも、まだ三十分たっていない))



豹那「オイオイ...どういう風の吹きまわしだ。
お情けか?」


『能力者にかける情けなどありませんが、あまりに水前寺様が興奮していたのでね。
これではせっかくの人狼ゲームがバトル・ロワイアルになってしまいますから。

闇之 豹那様。
貴女の推理。
今一度お聞かせ下さい』



豹那「...ッチ。
まぁ、道理だな。
他の皆への説明にもなる。



さて、水前寺を占った理由。
初日の時点で何名か水前寺を危険視していたわね?
それは、初日の犠牲者九条も同じよ。
水前寺が不安定なのは火を見るよりも明らかだが、あまりに大人しすぎた。
聞けば、主と慕う月子の元にも通っていないというじゃない。

きっと、何かを抱え込んでいると思った。
だから、水前寺を占ったのよ」

狐來「...そして、彼は案の定人狼だった」

豹那「...多分、だけど。

水前寺は、月子に話しかけて、月子の優しさに触れたら、自分が昔の自分に戻るって分かってたんでしょうね。
水前寺が自分につけている咎が、外れるとわかっていた。
そして、暴れて月子を傷付ける。


それが嫌だった。
だから、距離をおいていた。


例え、そうであっても。





お前は罪人だよ、水前寺。





今日の投票で、お前に入れる一票を、九条への鎮魂に捧げる」










水前寺「___甘ェ女だ...アンタ。


砂糖よりあめぇくせに...猛毒みてぇな作用がある....。
うざってぇんだよこのクソアマッ!!
こっちが下手に出てりゃ何年も良い気になりやがって...!」




豹羅「...あめぇのはお前だぜ、俊太。
甘えないようにしてたのが一番甘えてたんだよ。
お前一人探すために...俺達の兄貴二人の命散ってんだよ...!」






水前寺「____ソーかも.....ナァ.....」








ピーッ






狐來「ッ!」

竜也「...時間...だ...!!」




『ご静粛に。
三十分が経過しました。
これより先、投票終了まで一切の発言を禁じます。
守れない場合は相応の対処をしますのでそのつもりで』







水前寺「...なぁ...ヌシサマぁ...?」



((俊太...くん...?))


豹那「まって、水前寺もうこれ以上は...」



水前寺「ドーセ死ぬんだ...。
ジセイノク?くれェ好きに言わせろ...カイチョー様。



ヌシサマ....。
アンタ、絶対ェ、生きろ。

俺...こう見えて、必死に...頑張ったから....。
誰か、護りてぇ...護るんだ、って。
本気で、思ったからよ...。

俺...マジで...頑張ったから...たのむ.....」




((俊太くん...ずっと、そんな想いで...?!))









水前寺「ケモノは、まだ生きてる。

から、カイチョー様...。



たのむぞ....。
俺の、ヌシサマを.....」



















トウヒョウ、トウヒョウ。

トウヒョウしまショ。
オオカミにはムゴたらしいシヲ。
ヒトのカワヲかぶッタミニくイオオカミは、サイゴナミだヲナガしタヨ。





さァ、マスター、マスター。
エランで、えらンデ。







人の皮をかぶったオオカミは、ダァレ?













ケモノは、まだいる



四日目・昼5