豹那「...ここまで語ったはいいが...。

なぜ私を殺さなかったんだ...?」


((それは、豹那さんの純粋な疑問だろう。
狐來さんは殺気をしまうと、深いため息をはいた。
顔にかかる長い髪を払って、天を仰ぐ))



狐來「...パパみたいに頭がよくて。
ママみたいに気丈で。

厄介な子ね...。




役職が発表されたとき、襲撃は交代交代でするよう指示されたわ。
初日が水前寺くん。
二日目が私ってね...。

水前寺くん、ずっと言ってたの。



主様は、絶対に襲撃しないし吊らないって」



豹那「...」


狐來「じゃあ、誰を襲撃するの?っていって。
初日は、豹那とか月子ちゃんの傍らに居続けて貴女たちを護るであろう九条君にしたの。


二日目ね。
占い師COなんかするから...。
貴女を、襲撃する気でいたわ...。
でも、狼華が...。
ずっとメソメソしてたのに、急にいつもみたいに笑い出して...。

豹那の占い師COは騙りで、実は狼華が占い師だったんじゃないかって妙な勘繰りしちゃって....!!

豹那はきっと、鷹人兄様を占う。
まだ私達の正体はバレないと思って...。


危険な芽を、焼き潰したの



((結局。
狼華はただの市民で貴女は本物の占い師だったのね。

疲れきったようにいう狐來さん。
その言葉には、深い、哀しみが含まれている))



豹那「...妙な勘繰りで...罪もねぇ妹殺したのかよ...!!

ならなんで顔を焼いた!!?
もっと他にも方法あっただろうが!?
わざわざ妹を苦しませてどうするよ?!
そこまで恨みでも...」




狐來「うっさいなぁッ!!!!
憶測だけで語んないでよッ!

誰が可愛い妹を苦しませて殺すなんて悪趣味なことするかッ!!


ただ...!!










狼華の体を...必要以上に傷つけたくなかったのよ...!!」




豹那「......」



狐來「小さな体で、暴君に殴られるあの子を見ていたくなかった...。
もう、あの子の血を見たくないの...!

そう思ったら...燃やすしかなくて...」


豹那「...自分が、見たくないってだけで。
あの子を苦しませちゃ本末転倒じゃない...!」

狐來「...えぇ。
そうね。
その通りよ...。
最期の時まで...私、あの子のお姉ちゃん失格だわ...!!」



((ついに、狐來さんは顔をおおった。
彼女のすすり泣く声が聞こえてくる。



三日目に私を襲撃したのは、俊太くん。
理由はさっき豹那さんが説明した通りだ。
四日目に豹那さんを襲撃したのは狐來さん。
さすがに占い師の生き残りに焦ったんだろう。


そして、五日目に竜也君を襲撃した。
今更占い師を襲撃したって正体がバレてるも同然だし、最悪襲撃失敗に終わる。
それならいっそ、確実に殺せる騎士の竜也君を選んだんだ。




体を震わせて。
狐來さんが語り終える。
豹那さんは深く椅子に座り直すと、はぁ、と息を吐いた))



豹那「...許せないさ、この世で、何よりも。
暴君や女王場も凌ぐほどに、私はアンタが許せない。


地の底で苦しめ女狐。


それが、今も煉獄をさ迷う狼華と竜也への鎮魂となるだろうさ」




赦すことはない



六日目・昼7