((人狼ゲーム。
5人以上からプレイできる、一時期若者の間でとても流行ったゲームだ。
今では専用のアプリもあって、私も学校にいたときは暇潰しでやっていた。


でも、なんで今?
そもそもこんな面子で?
あんな、重厚な首輪を着けさせて?


ゲストにする扱いではない。
それが、なにかを物語っている。
誰も口を開くことはなく、砂嵐の流れるモニターやスピーカーを睨み付けていた))


『勿論、ただのお遊びじゃありませんよ?


近年能力保持人口は減少傾向にあります。
寿命や若年での落命が大きな要因ではありますが、それでもまだ多くの能力保持者が闊歩する。

特にこの日本は抜きん出て能力保持者が多い。
その最前線をいくのが、あなた達だ。


名門闇之家の次期家元最有力候補の鷹人氏と
現世の六歌仙、狐來氏。
能力保持者のみを迎え入れる学園の王、豹那氏。
そして、あの学園の生徒諸君。

君たちの活躍は目覚ましいが、能力保持者に矢面に立たれては活躍できないものも増える。


そこで我々は考えたのだ。


今や能力保持者を牽引する君たちに、頭脳を使ったゲームをしてもらう。





捧げるのは、君たちの生命だ』








((おかしい。




理不尽な物言いに、思わずにはいられない。


能力者を利用するだけして虐げるこの世界は、ついに能力者を排除しにかかっていた))





豹那「ッ...鷹人...お、兄さんや、狐來姉さんは能力者であることを明かしてはいないわ。
メディア関係者も知らない。
知っているのは闇之の幹部と政府の極一握りだけのはず。
なのに何故...!?」


((ぎゅっと繋ぐ手に力が込められた。
二人とも、一悶着こそあったが同じ能力者、そして家族として愛しているからこそ庇うんだろう。
この人は、やっぱり王にふさわしい。


でも、スピーカーの声は冷たい))




『あなた達が、闇之 カエンの子であることに変わりはない__』




((暴君___闇之 カエン。
豹那さん達をあの学園に繋いだ張本人。
そして、豹那さん達の実のお父さんだ。
よくは知らないけど、何度か狼華ちゃんから教えてもらった。

元々陸軍の中尉だった暴君もまた能力者。
忌むべき能力者がこの国を守っていたというのは、政府にとって最大の汚点らしい。
だから、娘である豹那さん達は特に厳しい扱いを受けるんだ。


だからって。


お父さんやお母さんが能力者で
ただ、政府の関係者だったからって。
子供が何をしたの____?))



豹那「___クソッタレ___!!」


狐來「豹那、よしなさい。
となりの子が怯えているわよ」


豹那「...!!」


((狐來さんの言葉で、強く握られていた手の力が緩んだ。
ごめん、と謝る豹那さんを安心させたくて、首を横にふる))



『...やれやれ。
王者ともなればお優しいのですね。
このゲームでいかにその優しさを発揮するか見物です。



さて、では軽く説明しましょう』




このゲームでは




一日目・昼2