狐來「...そう。
貴女も、気付いたら此処にいたのね」((悲痛な面持ちで、豹那さんのお姉さんである狐來さんが私の言葉にうなずいた。
モニターに従い二階に上がって、各々ひとまず自分のネームプレートの部屋に入った。
確かに、自分の荷物がおかれていた。
旅支度した覚えなんてないのに。
部屋は至ってシンプルだった。
狭めの勉強机と、シングルベッド。
ユニットバスも備え付けられてて、ビジネスホテルってかんじ。
自分の部屋にいる気にもなれなくて。
一応部屋の中にあった鍵を使い施錠し、二階を見て回った。
私の隣の部屋が豹那さん。
反対が、今私の目前にいる狐來さんだ。
狐來さんも部屋にいる気になれなかったみたいで、リビングのような場所につれてきてくれた。
大人数でも座れるソファーに備え付けられたぬいぐるみが何個か。
テレビとかはないけど、ダーツだったりオセロなんかのボードゲームがあって。
息抜き用の部屋なんだろう。
かわいい狐のぬいぐるみを抱えて座った狐來さんの向かいに腰を下ろす。
ちょうどおとなりにはホワイトタイガーのぬいぐるみがあり、狐來さんに倣ってそれを抱えた))狐來「...貴女の事ね、結構豹那から色々聞いてたの。
逢ってみたいとは思ってたけど...。
まさか、こんなかたちになるなんて...」((狐來さんは本当に綺麗な人だ。
ラフなルームウェアから出た足はスラリと長く白い。
頬杖をついて憂う様は、どこかの絵画に描かれていてもおかしくはない。
あまり豹那さんには似ていないように思えた。
どっちかと言えば狼華ちゃん似だ))豹那「姉さん。
...嗚呼、月子。
お前も此処に...」
((着替えたのだろうか、いつものスーツではなくパーカーにスウェットの豹那さんが入ってきて私のとなりに座った。
少し、疲れた顔をしている))狐來「あら、着替えたのね?」豹那「えぇ、まぁ。
狼華が泣きじゃくって鼻水付けやがったもので。
姉さんも着替えたんですね」
狐來「気分を変えたくてね」((どうやら、狼華ちゃんは我慢できず泣いちゃったようだ。
さっきの感じだと、今は落ち着いて竜也君といるんだろう。
狼華ちゃんは敏感だから、泣くのも仕方ないよね...))鷹人「___狐來、豹那」豹那「ッゲ」
一日目・昼後編