((暗くなる直前に豹那さん達は帰って来た。
でも、なんだろう。

豹那さんの雰囲気が、違う。
すごく苦しそうだった。
何があったんだろうか。

それを聞く前に、部屋に入ってきた豹那さんにきつく抱き締められてしまった))



豹那「...月子。
荷物全部まとめろ、全部だ。

貴女を、別の人に預ける」


((すぐには理解できなかった。
思考が追い付く前に、言葉は続けられる))



豹那「今の私の状態では...貴女は、此処にいる方が危険よ...。
此処にいては、護れない。

だが、そいつなら貴女を護れる。
表情は固いが強い。


理不尽だと思うでしょう。
でも、お願いよ。

聞き分けて。
荷物をまとめて、昇降口に来て」


((豹那さんがあまりにも必死で。
何も聞くことはできない。
ただ、この人の力になりたい。


私は、頷いた。





すぐに荷物をまとめて、再び昇降口に出れば豹那さん一人だった。
煙草を吸っていた豹那さんは私に気付くと、それを揉み消し歩み寄ってくる。

深月で、星のない。
暗い夜だ))


豹那「行くぞ」


((言うや否や、豹那さんの姿が変化する。


学園を優に越える巨大な獣。
どっしりした四肢に支えられた体と、威厳のある目。
見え隠れする牙が恐怖を誘うが、怖くはない))



破壊獣の、豹那さん




そして、日は昇る