バッリィーンッ


カエン「...!!?」


((ある日。
その夜は、立ち上がるのも嫌になるくらい寒かった。
極寒と言うに等しい夜空を、満月が照らす。


闇之本家に、何かの飛び散る音が響き渡った。
勉強をしていた私や狐來、鷹人お兄さんは言い様のない不安に苛まれた。

顔を見合わせ、寒さを惜しみつつ部屋を出てその部屋を目指した。


お母様の部屋...!!?
襖は開いていて、お父様が立ち往生している))



カエン「ッ...ッ...!!」


((お父様は、何も言わず、動きもせず。
ずっと、佇んでいた。

その肩が...震えている...?


お父様、何が...?))



カエン「...月子...」

狐來「パパ...?」

カエン「狐來...」

鷹人「父さん...」

カエン「...鷹人...」


((お父様の肩越しに、室内をみた。

中では。


お母様に抱き締められて寝ている豹那と。
ずっと奥の部屋の隅で、粉々になった花瓶。
もう、修復不可能なほど...))



●●あ、れ...




●●平穏の崩壊