((あの日から私達は、軍人達のストレス発散道具として使われながら、地道に壁を削った。


軍人達は毎日、夕方頃にやって来ては私達に暴力を振るった。
殴る蹴るは当たり前。
髪や指を燃やされたり、鞭でうたれたり。
松明を顔に向けられたり。
指も折られたし爪も剥がされた。


時には暇な貴族がやって来て、拷問紛いの行為を受ける私達に至極興奮した顔をし、帰っていった。


でも、どんな時も。
お父様は、私達を頑なに護ろうとしてくれた。
私達を庇い続けてお父様の背中はボロボロだった。


そんなときでも、お父様は言い続けた))



シビル「君達が傷を負うのに比べれば...安いもの...さ...。

愛しているよ...僕の、アーンゲル達...」



((そんな日々は、思ったより長く続いた。

壁の穴もようやく完成に近づいた頃。
いつもより早い時間に軍人が訪れた。

それは、あの日パニックに陥って頭を抱えしゃがみこんでいた___))



シビル「...プロディトル...」

「...プローディトル、だ...。
発音はしっかりしてくれ...るv...シビル...」


シビル「...今さら何の用だ...」


((プローディトル...。
彼は、躊躇った表情を見せたかと思うと、檻の前に力なく座り込んだ))




「___お前の、処刑が___






確定した






((新たな絶望が、私達の肩を抱いた))



シビル「...いつ」

「...明日の...午後、三時」


((つまり、明日の三時にはお父様もいなく____。


そんなのだめ。

なんとしても、穴を今日中に完成させて逃げなくてはならない))



シビル「...どうせ反逆罪だろ?
ご都合主義な国家だ。

内部を知りすぎた犬は漏れなく殺処分だ」



((吐き捨てるお父様にはなにも言うことなく、プローディトルはその場を後にした。


その後、軍人は誰一人とてストレス発散にが来なかった))



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