【長編、私があの子を手離した日の後設定です。
他、すべてのネタバレとなります】


___...。


((その真実を話終えたとき。
兄弟は全員地面に視線を落としていた。

まるで豹那の心境を表すように。
花弁が散り、木々が悲鳴をあげる))



豹那「...っは...ははは...。

はは...ははは...!!!」


((壊れた人形のような笑い声をあげる豹那。
片目を覆う包帯を握って、爪を皮膚に立てている。

力が抜けて、その場にへたっと豹那が座り込んだ))



豹那「っは...はは...。

お兄さんが、私を殺しにかかったのは...。
五十代目に拘ったのは...。

私が、どれだけ抗おうと五十代目になるから...。
五十代目を狙うふりをして...。
私を。

『殺す』という選択で。
『開放』をして。

自分が、犠牲になるため...だった...?



暴君が、女王蜂が、私達を虐げたのは...全部私達のため?

悩んだ末に...。
虐げて...抑え込んだ...?

愛していた?


...ックハハハハハ!!!」


((握りすぎて解れ始めた包帯。
それを揺らしながら。

嗤いに、嗤った))



豹那「ァァア~....。

ねぇ...お姉様...。

何で...何で...何で...!!!


何で...!!
今なんですか...?!」


((曇った紫の瞳に、射抜かれる。

だって、そうよね。
もう。


『女王蜂』
私達の母、闇之 如月は、豹羅の手で殺められて。

『暴君の写し身』
私達の兄、闇之 鷹人は、豹那の濃緑で殺められて。



『暴君』
私達の父、闇之 カエンは。

レナさんお屋敷で、殺められた。


三人の遺体から抉り出され、特殊な液体に浸けられて腐敗することのなくなった三つの眼球。
全部が、一心不乱に。

豹那を射抜いているようだった))



豹那「私達のこの親族殺しは...不要だったじゃないですか。

私達は、ただ。
外見だけで。
立ち振舞いだけで判断して殺した。



ただの、外道じゃないですか


((知ってるよ、豹那。
お父様の能力。

自分のもつ記憶と能力を、他者へと移す能力。
それで、貴女は先に全部知ってしまっていた。

混乱しているなかで、この状態。


すぐに受け止められるわけ、ないのかな))



△...今すぐ全部受け止めろとは言わないわ...立ち止まってもいい...1度蓋をしてもいい...けれど向き合う事は、歩み寄る事は止めないで...これはお父様達から預かった貴方達への最初で最期の贈り物よ...(10コの指輪が入ったケースを開ける)

△指輪を渡す

△(能力で弟妹達と影を繋げ、虎幸が産まれてから虐待が始まるまでの記憶と、最近のお父様とお母様、鷹人兄さんとの会話の記憶を流す)

△ピアスから宝箱の鍵を取り出し、宝箱の中身を見せる(更に細かく真実を記したノートと、幼少期のアルバム数冊、父から託された指輪、五男と六男の写真が数枚)




△弟妹を全員桜の木の前に集めて真実を語る