((その答えは、次のページに綴られていた。
答えとは言いがたいが、どうやらとあるロシア兵士の日記らしい。
死ぬ間際に書き残していったものを日本語訳したそうだ))



『アレは白だ。

アレは悪魔にとりつかれているのではない。
悪魔そのものだ。
あの髪も、目も、体も、すべてが悪魔足らしめるものだ。
親愛なる我が祖国・連邦へ、せめてもの絶筆を遺そう。

文献で読んだ。
私も世話になったことがある、アンディアス曹長の娘など到底信じがたい。
だが確かに、髪はアンディアス曹長、顔はアンディアス婦人によく似ていた気がする。


それを塗りつぶすのは残酷さだ。


私の部隊を、アレはたった一人で、あの細腕で壊滅させた。
アレに色はない。
真っ白に散るのは闇と、我らの血潮だ。

まさに悪魔。
色のない、残酷な悪魔。
或いはラグナロクを生き抜いた忌まわしきヘビ、ニーズヘッグだ。

そうだ、あれは番犬の娘ではない。
ヘビだ。
我らが人類の母をたぶらかし、禁断の果実を食わせた忌まわしき存在だ。
それ以外にあり得ん。

血潮を舞い踊る、たかがスラム育ちの小娘と侮ったが運の尽きだ。
我が部隊の死者の血をすする悪魔。


連邦へ綴る。
我らはあの日悪魔の怒りを買ったのだ。
白薔薇を凌辱し、番犬の首をおとしたあの日に。
狂犬とヘビは怒り狂い悪魔たるその素性を露にしたのだ。

もうじきあのヘビが私を見つける。
きっと生きては帰れない。

この日記を読んだものよ。
どうか、あのヘビに触れるな。
触らぬ神に祟りなし。
もうアレの。


白い悪魔の怒りを鎮めることは出来ないのだ____』



▲...白薔薇を凌辱...?連行する時に、揉み合いになって亡くなったんじゃなかったの?...まさか、そんな...




▲...でも、どうして悪魔なんて呼ばれているんだろう。真っ白で、あんなに綺麗なのに..